望田潤の血統解体新書(サトノダイヤモンド産駒)
望田潤の血統解体新書(サトノダイヤモンド産駒)
競馬を支えるホースマンたち、このコーナーでは血統評論家の望田潤さんが血統解体新書というテーマの元、様々な種牡馬について、わかりやすく、深く解説していきます!今回は新種牡馬サトノダイヤモンド産駒についてです。
経歴:日高大洋牧場での勤務後、92年~02年まで競馬通信社編集部に在籍。現在はフリーランスとなり、多数の競馬メディアで執筆、多くの生産者や馬主の依頼を受け、配合診断などを行う。
主な著作:パーフェクト種牡馬辞典
■コンテンツ内容■
● 好配合の名繁殖マルペンサ
● MachiavellianやStorm Catのスピードを取り込みたい
● 産駒は機動力に富みダートもこなす
● サトノダイヤモンド産駒注目馬4頭!
好配合の名繁殖マルペンサ
改めてサトノダイヤモンドの競走生活を振り返ると、春クラシックでは皐月賞3着、ダービー2着と惜敗がつづくも、秋は菊花賞を横綱相撲で完勝。つづく有馬記念でも王者キタサンブラックとの死闘を制して、みごとに最優秀3歳牡馬のタイトルを手中におさめました。母マルペンサはアルゼンチンで芝2000mとダ2000mのG1を3勝するなど大活躍し、繁殖牝馬として日本に輸入されましたが早逝してしまいます。遺した仔はわずか4頭。しかしサトノダイヤモンドを筆頭に、JRA6勝で京王杯SC2着のリナーテ、通算[3-0-1-0]と底を見せないまま種牡馬入りしたサトノジェネシスと、3頭がオープン級の能力を見せました。無事ならば更に活躍馬を産みつづけ、名繁殖牝馬となりえただけに返す返すも残念です。母父Orpenはモルニ賞(仏G1・芝1200m)に勝ち愛2000ギニー2着のDanzig系マイラー。サトノダイヤモンドやマルペンサが長いところで活躍したのは、母系の奥に入るBuckpasserやTatanのスタミナの影響も強いと考えられます。OrpenはMachiavellianやバゴの近親にあたる名牝系の出で、母系に入って優秀な血で、Orpenを母父にもつ馬はJRAに17頭が出走し11頭が勝ち馬となっています。マルペンサは自身の配合パターンも優秀です。父OrpenはNatalma4×3、Natalmaの母Almahmoudの5×4・5のクロスをもちます。母父サザンヘイローはAlmahmoud3×4。マルペンサ自身はHalo4×3、Northern Dancer4×4、Natalma4・5×5、Almahmoud5・6・6×5・6となり、血統表の3/4にAlmahmoud~Natalmaの血を凝集させたような配合になっています。
マルペンサの血統表
このように血統表の3/4に同じような組成の名血を凝集させ、いっぽうで残りの1/4だけはそれと異なる血を入れるという手法は、サンデーサイレンスやGalileoなど多くの名馬・名種牡馬・名繁殖を生み出してきました。そしてディープインパクト然り、ロードカナロア然り、エピファネイア然りで、優れた配合をしている名繁殖牝馬の息子は、種牡馬としても成功しやすいものです。種牡馬もやはり母系が大事なのです。
MachiavellianやStorm Catのスピードを取り込みたい
サトノダイヤモンド自身はHalo3×4・5とクロスを重ねましたが、2000mのスピードというよりは2400mのスタミナや地力に秀でた馬でしたから、種牡馬としては相手牝馬からスピードを取り込む配合、つまりマイラーやスプリンターの肌と配合するのがセオリーといえるでしょう。
サトノダイヤモンドの血統表
特にOrpenの良質なマイラー血脈を活かした配合が成功しそうで、Orpenの母Bonita Francitaは名繁殖Coup de Folie(MachiavellianやCoup de Genieの母)の3/4同血の妹なので、Machiavellianやバゴの血を引く繁殖牝馬との配合で、この3/4同血クロスをぜひとも狙ってみたいですね。Machiavellianの血を引くマイラー牝馬との配合で大物が出るのではないかと予測しています。
Orpen×Machiavellianの血統表
またディープインパクト系種牡馬は、母父Storm Catのキズナやエイシンヒカリなどを除くと、ラウダシオン(父リアルインパクト)、モズベッロ、ラプタス(父ディープブリランテ)、ナムラクレア(父ミッキーアイル)など、Storm Catの血を引く繁殖との配合で代表産駒クラスを出しています。Storm Catの血を引くマイラー牝馬も有力な相手といえるでしょう。
モズベッロの血統表
産駒は機動力に富みダートもこなす
サトノダイヤモンド産駒の傾向としては、牡はしぶとい中距離馬が多くなりそうですが、牝はピリッとした面がある馬も目につくので、勝ち気なマイラーも一定数出るでしょう。産駒全体の傾向としては、ディープブリランテと似たようなバイアスになるのではないかとみています。Halo3×4・5の継続クロスをもつので、産駒は機動力に富みレースが上手で、中山や阪神の内回りを絶妙に立ち回れるイメージです。ダートはディープインパクト系種牡馬のなかではこなすほうでしょう。
サトノダイヤモンド産駒注目馬4頭!
早期から活躍できそうなPOG向けの産駒としては、以下の4頭をあげておきます。
トラミナー(牝、母サマーハ)
シャケトラ、モルジアナ、ザクイーン、サラーブ、ラスールなどの下。名繁殖サマーハの娘でDevil's Bag=Glorious Songの全きょうだいクロス5×3をもち、前向きで機動力ある1800型に計算できます。
ジュエルアズギフト(牡、母ラヴアズギフト)
母ラヴアズギフトの産駒はファストアズエバー(JRA3勝)などJRA出走4頭全てが勝ち馬。4頭のうち2頭が2歳時に新馬勝ちしており、1頭が2戦目に勝ち上がり。母にTiznowとStorm Catが入るのはコントレイルやアルジャンナ=コマンドライン兄弟などと同じで、どちらもディープと相性抜群の北米血脈です。
ブルーペクトライト(牝、母ピースエンブレム)
母ピースエンブレム(JRA4勝)は秋華賞馬ブラックエンブレムの全妹で、Our Emblem≒ヘクタープロテクターのニアリークロス2×2が光ります。ヘクターのマイルのスピードをよく伝える繁殖でしょう。本馬も母方のマイラーっぽさが表現されている点を買います。
マテンロウカノン(牝、母ウォークロニクル)
クロノジェネシスやノームコアの姪。母母クロノロジストはフサイチリシャールと同血で、その母インディスユニゾンはフサイチエアデールの全妹。最近も活躍馬が途絶えず、また牝馬が走ることでも知られる牝系です。この牝系からマイルのスピードを補強。
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