
調教師 奥村豊先生インタビュー(前編)
教えて!奥村豊先生!(前編)
競馬を支えるホースマンたち、このコーナーでは教えて〇〇先生!ということで調教師の皆さんに競馬にまつわる話を伺い、どんどん深堀りしていきます。
今回は厩舎開業7年目、栗東の奥村豊先生に私、UMAUMA代表の澤がインタビューさせていただきました!
奥村豊先生のプロフィール
出身地:滋賀県
生年月日:1977年8月26日(44歳)
開業年度:2015年
主な活躍馬:ディアンドル、ロードブレス、ピースオブエイト
出身地:滋賀県
生年月日:1977年8月26日(44歳)
開業年度:2015年
主な活躍馬:ディアンドル、ロードブレス、ピースオブエイト
■前編インタビュー内容■
● 奥村豊が調教師を目指したきっかけ
・ 乗馬との出会いが運命を変える
・ 調教師という仕事への意識
・ 藤岡健一厩舎への縁と恩返し
・ 競馬はエンターテインメント
● 競走馬づくりに対するこだわり
・ 馬のコンディションを整える
・ 馬の行儀が出来ていること
・ ディアンドルとの試行錯誤の毎日
奥村豊が調教師を目指したきっかけ
澤 まず早速なんですが、奥村先生が調教師を目指すきっかけというのは何だったのでしょうか?
奥村 実は私自身、家庭は全く競馬とは無縁でした。なので普通の理系の高校生でした。大学も特にやりたいことがあるわけではなかったので4年生の大学で工学部に進学しました。ただ育ちが栗東なので土地柄、トレセン関係者の話はよく耳に入ってきましたね。
乗馬との出会いが運命を変える
澤 そうだったんですね、何がきっかけで競馬の世界に行こうと思ったのでしょうか?奥村 ある時に厩務員の方の話を聞いて。乗馬を始めまして、それが今思うときっかけでしたね。大学4年の時に実はJRAの就職試験も受けたのですが不合格でして。そこでトレセンの関係者に紹介してもらってビッグレッドファームで2年勤めさせていただきました。
調教師という仕事への意識
澤 そうだったんですね。ビッグレッドファームではどういったことを経験されたのでしょうか?奥村 基本的には1,2歳の育成馬の管理、育成がメインでした。たまにお産の手伝いをすることもありましたし、生産、育成に関する様々なことを学ばせていただきましたね。育成のノウハウなどを学びながら、JRAの競馬学校に入学する際は調教師を目指したいという気持ちは漠然とですがありましたね。その後は五十嵐忠男厩舎のスタッフとして2年過ごしました。
藤岡健一厩舎への縁と恩返し
澤 その後、栗東の藤岡健一厩舎に移籍されたそうですが、何かきっかけがあったのでしょうか?奥村 はい、五十嵐厩舎で働いている中で藤岡先生の元で勉強したいという気持ちが芽生えまして。藤岡先生とは話したことはなかったのですが、外から見る中で集まってくる馬や、成績、厩舎の雰囲気を見て、ここで学んでみたいと強く思い、お願いしました。
澤 そうだったんですね!藤岡健一厩舎ではどういった経験を積まれたんでしょうか?
奥村 はい、初めは持ち乗り(世話する担当馬をもちつつ調教も行うこと)で、途中からは攻め専(調教を専門に行うこと)をやらせていただきました。、ただ騎乗技術を買われて移籍したのではなく、調教師を目指すと先生には伝えていたので、マネジメント、全体を見回すという仕事を与えてもらい、勉強させてもらいました。
澤 なるほど、すでに調教師として意識した取り組みをされていたのですね。2013年に調教師試験に合格された後、開業まで2年間はどうされていたのですか?
奥村 調教師試験はコツコツ勉強して、5回目で合格しました。その後開業までは藤岡先生、厩舎の皆さんにここまで自分を育ててくれた恩返しとして自分ができることを精一杯やりたいと思い、開業までの2年は他の厩舎には行かず、藤岡厩舎で最後までやらせていただきました。
競馬はエンターテインメント
澤 そして、現在は調教師として活躍されている先生ですが、調教師として働く毎日でやりがいというか仕事に対する思いなどをお聞かせいただけないでしょうか?奥村 調教師という仕事はオーナーに馬を預けてもらわないと仕事になりません。その馬で私の厩舎に預けてくださったということは期待をされているわけですから、「この馬でダービーを勝つ。」本気でそう思ってやらせていただいております。なのでやはり結果が出た時、オーナー、ファンの方の応援、期待に応えられた時は本当にうれしいですね。そして何より競馬はエンターテインメントです。そのエンターテイメントを担っている立場としては皆さんに楽しんでいただきたい、夢中になってもらう時間を作りたいと思って仕事をしています。
競走馬づくりに対するこだわり
澤 それでは次に奥村豊厩舎としての戦略と言いますか、馬づくりに対する取り組みについてお伺い出来ればと思います。厩舎のモットーというか、意識して取り組まれていることはありますでしょうか?
奥村 そうですね、一番大事なことは「その馬が持っている能力を競馬で出し切るためにどんな準備が出来るか」ですね。
馬のコンディションを整える
澤 なるほど、それはどういうことなのでしょうか?奥村 厩舎のスタッフに伝えていることとして大きな柱が二つあります。これは開業時から今も変わらず、常に言い続けていることなのですが、まず一つは「馬のコンディションを整える」これはどういうことかというと例えば競馬に行く際、硬さがあるとか、歩様が良くないという状態を必ず避けることです。競馬ファンの皆様はご存知かもしれませんが、うちの厩舎の調教はかなりソフトな方です(笑)とにかく動かしすぎない、テンションをあげさせすぎないこと。気持ちばかりが行き過ぎる状況を避けることが大事ですね。
澤 なるほど、そういった調教に関する部分はやはり藤岡厩舎での経験から来ているものなのでしょうか?
奥村 もちろん、それもありますが、藤岡厩舎はどちらかというと結構動かす調教ですからね(笑)自分なりに試行錯誤しながら、色んな方法を試しています。競走馬は長い目で見ること、その上で体つきよりも精神的な面にどちらかというと気を付けているかもしれませんね。
馬の行儀が出来ていること
澤 非常に勉強になりました。もう一つの柱は何なのでしょうか?奥村 もう一つは「行儀が出来ていること」です。
澤 行儀ですか?どういうことでしょうか?
奥村 馬の行儀が出来ているという状態は馬が人に対して意識があるということ、その上でよく言われる操作性がある、指示通り動けるといったことでしょうか。 やはり何といってもアクシデントを減らしたいので。馬が好き勝手に動いてくというのは避けたいですから、そういった行儀を良くすることをスタッフには求めますね。
澤 なるほど、行儀を良くするためには具体的にどういったことを行うのでしょうか?
奥村 例えば馬は馬房にいる時が最も穏やかですから、その馬房でのスタッフと馬の1対1にコミュニケーション、掃除をする際、洗って綺麗にする際の馬とのコミュニケーションを重ねることは本当に大事です。これは人間にも同じことが言えると思うのですが、馬もトレセンで出来ないことは競馬場ではできません。なので自分たちスタッフが出来ないことを騎手には求められませんから、とにかく厩舎で出来ることを丁寧に行っていくことを心掛けております。
ディアンドルとの試行錯誤の毎日
澤 ありがとうございました。それでは次に今まで管理された馬で思い出に残っている、今に生きているエピソードがありましたら教えていただきたく。奥村 1頭ですか、、、やっぱりディアンドルですね。 彼女から学んだことは本当に今に生きています。早い時期から活躍できましたし、非常に能力の高い馬でした。ですが、、、(続編につづく)

ディアンドル(福島牝馬S)
競走馬販売サイトUMAUMAはこちらへ!
https://umauma-shop.com/